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第79回 研究懇話会の報告

第79回研究懇話会は講師に照井隆一氏(当会会員)をお招きし、平成30年3月16日(金)15:30~17:00の間、岩手県公会堂1階15号室で開催されました。
演題は「適地適木 ― 松尾鉱山跡地の森林造成を考える ー」で、今後の松尾鉱山跡地の植栽樹種について講師のこれまでの現地調査や各地の実証調査結果を踏まえてご講演頂きました。懇話会には松尾鉱山跡地再生の森協議会で植樹・育樹活動を実践している関係者を中心に20名を越える参加者のもと、熱心な検討が行われました。以下にその概要をまとめました。[ ]内は編集担当理事の追記コメントです。
1947年と1976年の林相を比較すると、上部の高木林が疎開しチシマザサの侵入が著しいが、これらは鉱山事業の影響の他、本地域の厳しい気象環境や閉山後の浸透水防止工(強酸性水の流出防止のため表層土壌を転圧した)によるものである。松尾植栽地の最大標高1100mの温量指数は45°であり、アオモリトドマツ、ダケカンバ、コメツガ、トウヒが適木であるが、大量の苗木供給は難しい[地球温暖化が進むと松尾植栽地の温量指数は大きくなってしまう]。その点、ブナ、ミズナラは温量指数55~85°の間に分布し、松尾でも標高の低い方では候補木となる[地球温暖化が進めばより適木になる可能性があるが、ミズナラはナラ枯病に要注意]。多様な種類を植えて自然の推移に任せるより、将来の条件を見据えて候補適木のみ植える方が良いと考える[宮城蔵王の馬の神岳にある天然カラマツも候補であるが、育種センターによる苗木の育成がまだ十分な量ではないとのこと]。

厳しい気象条件、硬い土壌などを勘案すれば、松尾の高標高に適する樹木の候補として、劣悪な自然条件でも純林を形成できる(北方林業叢書 43 造林樹種の特性 参照)アカエゾマツを推奨したい。特に湿原状の場所に使える。アカエゾマツは早池峰山の蛇紋岩地帯にも自生している。北海道種苗協会が1本200-250円で販売中[北海道産に疑念を抱く人もいたが、一方、遺伝的汚染の心配は無いと考える研究者もいた]。コンテナ苗の活着が良いが、被圧に弱い。最初は小面積で試植し、結果を見ながら次第に拡大してゆくのがよい。
照井氏の講演のあと、由井会長がヤマナラシも候補木にすることを提案した。アカエゾマツは土壌を酸性化する可能性がある(森林総研所報1999 高橋ら)が、酸性雨を受けた樹幹流をアルカリ側に戻すのに最も効果のあるヤマナラシ(日林東北支誌1992 野呂・佐々)は松尾の強酸性水防止に有効と考える。ヤマナラシは現地に自生しており、平成22年の植樹成績も良好で、さらに根吹苗や挿し木も活用できるので、今期から実験を行う予定。
会場からは水平根の木(ヤマナラシ、アカエゾマツ含む)を選ぶこと、森林育成による雨水の蒸発散効果も重要なこと、深さ50cm以下は掘らないなどの意見や提案が出された。