社団法人 東北地域環境計画研究会事務局


公開講演会の紹介
ふり返ることも
「深沢紅子 野の花美術館館長」 志賀 かう子(会員)
 日本エッセイストクラブ賞を受賞した「祖母 わたしの明治」の著者として知られる志賀さんは、同書にもでてくる祖母からの薫陶や、女子だけ500人を収容する栃木刑務所の篤志相談員としての活動体験をもとに、次のようなこと等を話された。

1. 「ふたつに一つ」
親を亡くした運命に逆らってはいけないと、祖母は親に代わって遊びたい盛りの子供に、厳しく針仕事を教え込んだ。昔の親は本当に一生懸命、手間ヒマ惜しまず子供に仕事を教えたものだ。今の若い親は針も包丁も使わせない。生活技術を教えないから営々として家庭で築かれ、地域の風土となって伝わってきたものが失われかけている。

2. 「姿よく」
食事の姿勢も、食べ残すお碗の中身も、起き抜けの夜具も、投げやりではいけない。作った者への感謝が後始末の形に現れ、教養、その子の家庭が偲ばれる。

3. 「家庭の復権」
本来対等であるべき男女の位置関係が行き違いを来たしている。家庭が犠牲になる。シンナー、売春、暴力団への転落コースをたどるのは、母親不在、頬寄せてすがる相手のいない子女に多く、家庭の比重を軽くみる今の世情を憂う。

4. 「男尊女卑」
この言葉は明治になって生まれた言葉だ。もともと我が国では、女は命を産み育むものとして、男は家を一歩出ると切り捨てられかねないものとして、共にいたわられていた。互いをいたわる本当の優しさを自分のなかに蓄えていたい。



閉じる