社団法人 東北地域環境計画研究会事務局


公開講演会の紹介
ドイツ・トルコ・イスラエルの環境事情
「岩手大学農学部教授」 井上 克弘
 ドイツ、トルコ、イスラエルを訪れた数度の旅行で見てきたことをご紹介します。ドイツでは様々な商品にリサイクルを意味する緑のマークがつけられています。日本でもリサイクル法が制定されましたが、ドイツでは91年に包装材の委託回収システムが確立しました。業者が共同出資で回収代行会社を作り、緑のマークがついている包装材を回収します。飲料容器は91年で72%が再利用されています。日本では店頭で包装紙や袋をもらいますがドイツでは全て有料です。ドイツのゴミ処理は8割近くが埋め立て法ですが、日本では74%が焼却法です。ドイツでは廃棄物のダイオキシン濃度に1立方メートルあたり0.1ナノグラム(10億分の1)以下という厳しい規制を設けています。日本では各地の焼却処分場で高いダイオキシン値が問題になっています。

 エーゲ海に面したトルコのエフェソスは、ギリシャとエジプトの中継地として栄えた港町だったのですが、ある時放棄されました。周辺地域の山の土壌浸食によって港が埋まってしまったからです。古代都市が滅ぶとき、地域の土壌荒廃と非常に関係があります。トルコには荒廃した地域がたくさんあって、土壌浸食から土を守ろうと一生懸命に植林をやっています。

 イスラエルの死海の近くに緑豊かな集団農場(キブツ)があります。キブツではナツメヤシを植えてオアシスのようになったところでグレープフルーツなどを栽培し輸出しています。山に降った雨が岩盤に沿ってしみこみ地下水脈が出来、そこへ井戸を掘って地下水を汲み上げてキブツを作るのだそうです。日本は水に恵まれ、トルコ、イスラエルに比べ非常に緑豊かな国です。しかし、ドイツに比べるとゴミの分別処理など環境問題に対する取り組みがまだまだ甘いのではないかとの印象を持ちます。



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