社団法人 東北地域環境計画研究会事務局


公開講演会の紹介
木質バイオマス有効利用の取り組み
「葛巻林業社長」 遠藤 保仁
 「木質系ペレット」「ペレットストーブ」といった言葉は耳新しいと思いますが、当社は昭和40年代から製造している。最初はチップの廃材として樹皮を毎月600トンを消却していた。第2次オイルショックが来たとき、消却経費をカットできないか、と考えペレット製造を始めた。最初の動機はコスト削減であって地球環境改善ではなかった。しかし、最近は化石燃料に代わる環境に優しい燃料として注目されている。

 ペレットは直径約7ミリ長さ15〜30ミリの円筒形で主として広葉樹の樹皮を原料とした。ほかに「おが粉」、針葉樹も利用可能である。要するにチップの副産物としてペレットが造られる。製造工程は、樹皮は細かく粉砕し乾燥後、さらに細かく粉砕する。この時の含水率は13%、成形機のなかで200〜300℃に熱し、樹成分のリグニンを融かしペレット状に固めて出来上がる。これは、液体のようにタンク貯蔵し、ボタン一つでストーブに送れる。薪に比べて運搬も容易で、燃焼効率も高くなる。

 木質バイオマスエネルギーの活用に向けた課題は、木質燃料の安定供給と安定需要である。供給面では、いかにコストを抑えて生産するか、そのための森林からの搬出、品質規格面の統一、木質燃料の流通システムの確立が必須である。需要面では、燃焼機の開発・普及、機器の導入にかかる公的支援等課題も少なくない。いずれにしても、枯渇しない持続可能なエネルギーとして、今後注目される燃料である。



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