岩手山火山における治山対策 |
「盛岡森林管理署長」 福嶋 雅喜 |
森林管理署の業務というのも実際の森林に対しての世論の変化、森林を支えていた林業の問題もありまして、国有林も再建途上の段階にあります。森林の様々な役割を模索するような事業も取り組んでいます。そんな中に平成10年から出てきました、岩手山の火山活動の問題があります。現在の岩手山は今すぐに噴火する、しないということよりもいつかは噴火することもあるかもしれないということで森林の整備を考えているわけです。
この資料は西根町の焼き走りから見た岩手山で、標高2038mですが、山帯の大部分が国有林になっております。山すそには牧草地や民有林もあります。火山であるということはご存知のとおりで70万年の火山の歴史があり、6000年で山頂部の爆発や溶岩の流失などが知られています。1972年には水蒸気が薬師岳において確認されています。一方、西側からみた資料です。大地獄谷ですが、ここが今活動が活発と言われている所です。治山対策を行うことについてですが、1998年平成10年に火山性地震が1月から2月に増えだし、3月に急に活発化し4月22日に気象庁から臨時火山情報が出されて6月には第2回の火山情報が出され、7月には登山道の閉鎖、7月22日には災害を予測した地図が作成されています。これは気象庁が作ったもので、噴火によってどのようなことが発生するかと言うことが記されています。噴石や水蒸気爆発、さらに溶岩、火砕流、土石流による被害などが過去の状況から推察されています。岩手山は様々な現象が発生する要素がある山だと言われています。過去にも噴火しているものの詳しく研究されていないため、どんなことが予測されるのか、そのために行う治山対策も含めたハード面、ソフト面の両面から考えていく必要からまとめた資料が出されています。これは岩手山の火山防災マップですが平成10年10月に作成されたものです。過去3200年前に起きた水蒸気爆発を参考に推定して作られたものです。このマップは国土交通省の岩手事務所が作成した砂防施設、治山施設が対策用としてまとめたものです。実際には現地の状況によってこのマップのように行かないところもありますが、これにそって進められています。
森林が持っている、土砂流失抑制機能を活用しようと考えられているのが今回の取り組みの特徴と言えます。これは村井先生が作られた、静岡県大井川上流のカラマツ林の資料です。これによってある程度の抑制効果が期待されると思われます。樹木の利用と言うのが防災対策の一翼を担うとされ、災害緩衝林としての設置が検討されています。岩手山では傾斜15度未満の区域に整備することで効果が期待できるものと考えられています。樹木の衝撃に対する力の要素の一つとして、木が何本も立っていることで杭の役割をするということの調査もされています。岩手山の森林整備もこれらも考慮してミズナラ、アカマツ、カラマツなど防災の効果を期待したモデル林の整備を考えています。 |