社団法人 東北地域環境計画研究会事務局


公開講演会の紹介
早池峰山域の地形 その魅力と秘密
「岩手県立大学総合政策学部教授 理学博士」 米地 文夫
 北上山地は国内でも有数の広がりをもつ山地で、非火山性の古い地層から成り立っています。

 北上隆起準平原などとよばれる高原的な山地の中に、なぜ例外的にそびえ立つ山塊「早池峰山・薬師岳山域」があるのでしょうか。

 早池峰山と薬師岳は僅か3キロという距離で隔てられていますが、早池峰山の岩質は蛇紋岩、薬師岳は花崗岩で構成されています。また2つの山の間には早池峰構造体という断層で隔てられ地形的にも山の姿は大きく異なります。

 最近の成果によれば、早池峰山から北側の北部北上山地は、大陸近くの海溝にプレートが沈みこむ際に、沈みこまずに陸側にくっついてしまう付加体とよばれるもので構成されていることが分かってきました。

 一方薬師岳から南側の南部北上山地は、現在のオーストラリア付近にあった古い大陸の一部がプレートに乗ってはるばる移動してきたと考えられています。

 これらが衝突した際にせりあがったものが早池峰山であり、衝突するときに複雑に変化して盛り上がったものが早池峰構造体(小田越−岳川)です。

 これらのことから、早池峰山はモナドノック(残丘)ではなく、付加体と古い陸地がぶつかり、盛り上がったことでできたもので、誕生当時から北上山地のなかでは突出して高かったといえます。



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