社団法人 東北地域環境計画研究会事務局


公開講演会の紹介
平成14年10月5日
自然との共生 現代社会の問題点
「作家」 吉永 みち子
 東北地域環境計画研究会10周年、誠におめでとうございます。

 盛岡に着いて小岩井農場に行ってきました。今日の盛岡は非常に暑いですね。都会は非常に暑くヒートアイランドという問題がありますが地方においても同じようなことがあります。都会はいかに土がないかということです。ビルはすべてガラス張りになっております。あれがすべてソーラーシステムだったらいいのにと思います。来年から日本に輸入されるヨーロッパ車が南国向けの仕様になると聞いています。

 コンクリートの中で三代暮らすと上流ではなく下流になってしまう。コンクリートの中ですごした人が物事を決めてしまう。私もコンクリートの中ですごしているわけですが。

 今年私はモンゴルに行ってきました。これは馬乳酒を飲んでみたくて行ってきました。  

 私は20代の頃からモンゴルに行ってみたかったのですが、私は馬が好きでして、馬との出会いがなければ今の私はなかったわけで、それで競馬場にいったりしました。

 モンゴルに行ってもホテルで飲めるわけではないのです。モンゴルでは冬場にこの馬乳酒を飲んで過ごすわけです。野菜もまったく手に入るわけではなく、干し肉をたべるほかにこのお酒を飲んでます。非常に貴重な飲み物です。日本から十人ほどが参加しました。馬乳酒を毎日一週間のみ続けてどのような結果がでるか調べる実験材料となることで貴重なこのお酒を飲むことができたわけです。

 ウランバートルは上空からみると本当に砂漠ばかりでした。さらにウランバートルに着いてから300キロに目的地がありました。たまに牛が道路にいたりして、また、一応舗装されていますがところどころがはげていて、途中で道路がなくなって砂漠を走ったりしました。

 現地は電気はなく、水もなく、川の水ですべて用をたします。朝起きたら川に馬がたくさんいて、馬糞川だとみんなでいったりしました。しかし非常に貴重な水です。トイレはと聞くとそこら辺全部と言われて。私はトイレがないというのが一番いやで。片手でシャベル、片手にトイレットペーパーということになりました。モンゴルの人がするもの(糞)は犬が食ってくれますが日本人がしたものは犬がそっぽをむきました。

 そこは一面家畜のウンチでその上で寝起きするわけです。牛や馬が多く、一面にありますからその上で人が生活をしているわけです。しかし、そんなに糞のにおいがしないのです。これは土壌菌が非常に豊かなことがわかります。日本ではアスファルトの上に糞をするのでこれは匂います。

 私たちが行ったところはすごくいいところに行きますので緑が多くありますが、それ以外はほとんど砂漠ばかりで牛が必死になって草を探しています。ガイドさんがここにいる家畜たちはほとんどが死んでしまうでしょうと言っていました。

 もちろん携帯もパソコンもないし、みんな本を持っていきました。日中は茶色い土を見たり、景色を見たりしてすごします。本を持っていっても夜は電気がないので本を見ることもできないわけです。そこで馬乳酒を飲んでみんなで話をするわけです。やがて月が出てきて明るくなって、星がわっと夜空に広がります。

 変な日本人がきているということでモンゴル人が馬で見に来ました。そこで私たちが持って行ったバトミントンを暗くなるまでやるわけです。

 馬は3月に出産して6月から7月ごろまで乳を出します。この乳からアルコール分3パーセントほどのお酒を造ります。最初、本当にまずいと思いました。上にはごみやら虫のようなものやら浮かんでいて、お祈りをしながら飲みなさいというわけです。とにかく酸っぱい、けものくさいで最初はこれを1週間、毎日3回飲むのかと思うと、覚悟を決めてみんなで飲みました。私以外はみんな腹をこわしました。私はモンゴル度が強いと言われました。3日目あたりからとてもおいしく感じられるようになりました。

 馬乳酒は血が綺麗になるといわれましたが、最後に採血をしまして先日その結果がでました、その結果、コレステロールなどみんな下がっていました。肝機能がよくなるという結果がでました。日本にはサラブレッドが多くいますが、これも馬なので馬乳酒がとれると思いますが、とても高価な馬ですので乳をとることはできないでしょう。

 モンゴルにいて一回だけジンギスカンを食べたいと言いました。ホームステイをしている人が10ドルだったらいいよというのです。そしたら生きているヒツジを連れてきてそこの兄弟の兄が動脈を綺麗に切りまして、あっというまにやってくれました。大地に一滴も血を落とさずに抜き取って、なにも残さずに使う。無駄なものは何一つなく使います。生命の循環を有効に使います。文明社会では無駄なことばかりですが。

 夜になると狼がきます。夜にトイレに出たら狼の声がしてもどると、次の日にヒツジが狼にやられたといっていてぞっとしました。

 モンゴルでは繰り返し、繰り返しおじいちゃんの話を子供が聞いてそれが次につたわっていく、これがモンゴルです。ウランバートルは首都で最後の一泊だけ滞在しました。やはり、電化製品もあり、遊牧民は少なく、アメリカや日本のようになっています。

 本当に自然とともに自然の中ですごす生活がモンゴルにはありました。もう一度行ってみたいと思います。

 私、今日指輪をしていますが、この指輪の宝石を一つとるために3トンの土を動かすそうです。地球指数という言葉がありますが、たとえばバラの花一本を作るとき人は労力だけ計算しますが、花を咲かせるためには太陽の恵みが必要となるわけです。ちなみにこの自然の恵みを計算すると一年間に33兆ドルとなるそうです。

 自然の恵みを人間は一年間で1兆ドル失っている、自然を壊しているというこの数値が意味するものは、いかに私たち人間の生活がいかに自然をこわしているかということでお金に換算できない価値であるということを言っていると思います。自然の生態をいかに大切にしなければならないかということです。

 アインシュタインは第3次世界大戦の武器はわかりません。しかし第4次世界大戦の武器は石になっているでしょうと言っています。いまは核兵器を持つか持たないか、使うか使わないかということが問題となっています。ジョン・ウエインの映画でピストルは使っていいがショットガンは使ってはいけないというシーンがあります。

 これからはジリ貧の生活にすべきだと思います。今の消費文明に歯止めをかけ、精神文明になるべきです。自分が第一次体験をして生きていく体験をし、その中で経験したことをいかす。これからは徴兵制ではなく徴農制にすべきだと思います。子供たちが大地(土)を使って生きていくすべを会得していくような世になってくれればと思います。どうか皆さんのお力でそのような社会にしていただければと思います。



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